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企業向け電気代削減アイデア6選。目標設定や実践の方法を事例を交えて解説

ここ数年で電気代が大幅に上昇し、多くの企業では電気代削減の動きが進むものの、「具体的な削減方法が分からない」「投資対効果に不安がある」など、切実な声が上がっています。

このまま対策を先送りにすれば、高騰する電気代が収益を圧迫し続けるだけでなく、取引先などからの環境対策要請への対応も遅れてしまいます。

本記事では、企業の電気代削減に向けた具体的なアプローチについて、実践的な視点でご紹介します。

また、電気代の削減が求められる背景から業種別の具体的な対策、成功事例まで、解説します。

企業に電気代削減が求められる背景

多くの企業は、なぜここまで電気代削減を意識するようになったのでしょうか。まずはその背景について説明します。

エネルギー価格の高騰

世界的な資源価格の上昇により、日本企業のエネルギーコストは経営を圧迫する水準にまで達しています。

これは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢の変化や、円安等の影響で化石燃料の調達コストが上昇していることが背景にあります。

電力各社は燃料費調整制度に基づき、燃料価格の変動を電力料金に反映させているため、大幅に電力料金が高騰しているのです。

これにより企業の光熱費は年々増加傾向にあり、収益を確保するうえで電気代削減が避けられない課題となっています。

環境規制・カーボンニュートラルの推進

環境負荷低減に向けた社会的要請により、企業には積極的な省エネ対策が求められています。

日本政府は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを表明し、企業に対しても具体的な取り組みを促しています。

これに伴ってESG関連の市場が拡大しており、企業の環境への取り組みは投資判断の重要な基準となっているのです。

つまり上場企業にとっては、環境対策に消極的であることは円滑な資金調達の妨げになる可能性もあるということです。

そうした上場企業のサプライチェーンに組み込まれている中小企業等においても、環境負荷低減への取り組みをしなければ取引を見直される可能性があるでしょう。

電力供給のひっ迫と安定供給への課題

電気代との直接の関係があるわけではないものの、電力供給がひっ迫することで、企業活動の持続性にも影響が及びます。

例えば、冬季の厳しい寒さや夏季の猛暑では電力需要が急激に高まるので、それに際して計画停電などの非常時の措置が検討されたのは記憶に新しいでしょう。

企業は平時からの電力使用量の削減や、ひっ迫した需給状況下でも事業を継続できる体制を整えることが求められています。

企業の電気代(電気使用量)削減目標について

西暦の坂を見据える女性

企業が電気代を削減するには、具体的な数値目標の設定が重要です。

方法としてはまず、自社の電力使用状況を詳細に分析する必要があります。

過去1年分の電気料金明細や電力会社の公表データを活用し、使用量の推移や用途別内訳、時間帯ごとの変動を把握することで無駄を特定できます。

また、目標は短期・中期・長期の時間軸に応じて設定するのが望ましいです。

短期では運用改善を行い即効性を追求し、初年度に数%の削減を目指す方法などがあります。

中長期では設備投資を含めた効率化を進め、例えば3年以内に15%の削減を実現するなどの具体的な目標を挙げましょう。

目標達成には従業員の意識向上だけでなく、社内推進体制の構築が不可欠です。経営層が積極的に関与し、部門横断的なチームを形成することで取り組みが促進されることでしょう。

【共通】電気代(電気使用量)削減アイデア一覧

企業が電気代を削減するためには、業種に関係なく実行できる共通の手法がいくつか存在します。

初期投資の規模や期待できる効果を見極めながら、自社に適した対策を選択することが重要です。

以下に、具体的な削減アイデアとその効果を紹介します。

LED照明への交換

オフィスや工場の照明をLEDに切り替えることで、大幅な電力使用量の削減が見込めます。

LEDは従来の蛍光灯と比較して消費電力が半分程といわれ、かつ長寿命という特徴も兼ね備えています。

実際の導入では、照明の使用時間が長い場所から優先的に交換することで、節電効果をより実感できます。

例えば、24時間稼働のエリアや使用頻度の高いエリアへの導入を先行させると効果的です。

また、発熱量も少ないので空調効率も上がり、その分の電力を節約できます。

LED化による電力使用量の削減に加え、メンテナンス頻度の低減といった副次的な効果も期待できるでしょう。

空調の効率化

空調設備の適切な運用と管理は、電気代削減の大きな柱となります。

具体的には、室温が夏季は28度、冬季は20度になるよう温度設定し、ブラインドやカーテンによる断熱対策を併用して電気代削減を実現した事例があります。

また、フィルターの定期清掃や室外機周辺の通気性確保といった運用面での工夫で大きな効果を得られます。

なお、スイッチのオン・オフを頻繁に切り替えるのは望ましくありません。空調は部屋を目標温度にするために稼働するため、始動直後に多くの電力を使用するからです。少し部屋を空ける程度では、稼働状態のままにしておくほうが電力を節約できます。

エネルギーモニタリングの導入

エネルギーモニタリングシステムを導入すると、電力使用の無駄を特定し、効果的な削減策を講じることが可能です。

このシステムは、リアルタイムでの電力使用量を計測してグラフや数値にしてくれるため、ピーク時の対策や運用改善に必要なデータを集めることができます。

時間帯別や設備ごとの電力使用量を把握することで、効率的な運用計画の立案ができるようになります。

導入することで電力使用が可視化され、節電目標に向けて大きな効果を得られるでしょう。

機器の待機電力カット

使用していない機器の待機電力を削減することで、着実な省エネ効果が得られます。

パソコンやコピー機(複合機)、自動販売機など、多くの機器は待機時にも電力を消費しているのです。

常に稼働させていなくても構わない機器については退社時に電源を切ったり、休日の自動販売機の運転時間を見直したりするなどの対策があります。

小さな積み重ねですが、全社的な取り組みとすることで大きな削減効果につながります。

高効率機器への入れ替え

電力を大量に使用する設備を省エネ性能の高い最新機器に更新することで、大幅な使用量削減が可能です。

空調設備や生産設備、IT機器など、電力使用量の大きい機器が対象となります。

一例としては、生産設備のモーターを高効率モーターに更新、空調衛星設備を最新機器に更新するなどが挙げられます。

導入費用は高額になりますが、設備の老朽化も解消できるため、長期的な視点では節電以外にもメリットがあります。

使用電力の分散

電力消費を分散させることで、電気代の削減が期待できます。

一般的には電力需要の少ない夜間は昼間に比べて割安になるなど、時間帯により電気料金が異なる場合があるためです。

例えば電力使用量の多い業務を、電気料金が割安な時間帯に実行するなどが効果的です。

ポイントは、電力使用の平準化を図ることです。前述のエネルギーモニタリングシステムを導入するとよいでしょう。

また、企業の電気代削減に向けては、専門家のアドバイスを活用することも有効な選択肢です。

【業種別】電気代(電気使用量)削減アイデア一覧

ホテルのライト

業種によって電力の使用形態は大きく異なるため、それぞれの特性に応じた電気代削減策が必要です。

業種別の電力使用の特徴を理解し、効果的な対策を講じることで、より大きな削減効果が期待できます。

店舗向け

小売業の店舗で電気代を削減するためには、照明、空調、冷凍・冷蔵設備の効率化が欠かせません。

例えば、LED照明の導入だけでなく、売場の配置に合わせて照明を部分的に減らしたり、調光機能を活用したりする工夫が挙げられます。

さらに、冷凍・冷蔵ケースについては、適切な温度設定や夜間カバーの利用が有効な手段となります。

また、空調については店舗の営業時間や季節ごとの温度調整に基づいて運転スケジュールを見直すことで、さらなるエネルギー効率の改善が期待できます。

オフィス向け

オフィスでの節電対策は、業務効率を維持しつつ、計画的に進めることが重要です。

オフィスの節電チェックリストを活用し、体系的な対策を講じることがおすすめです。

始業前の空調運転開始時刻の適正化や、ブラインドを活用した日射制御により、空調負荷を軽減できます。

また、パソコンやプリンターなどOA機器の省エネ設定の見直しや、長時間離席時の電源オフも重要な対策です。

フリーアドレスの導入による執務スペースの効率化や、在宅勤務の活用により、オフィス全体の電力使用量を抑制することも可能です。

工場向け

工場の電気代削減には、生産設備の効率的な運用と設備更新が不可欠です。

特に、電力使用量が多い設備を特定し、優先順位をつけて対策を実施することが効果的です。

一例としては、コンプレッサーやモーターを使用する設備にインバータ制御を導入することで大幅な省エネが可能です。

また、生産スケジュールの最適化により電力消費量の平準化を図るほか、点検や予防保全を通じて無駄な消費を防ぐ取り組みも重要です。

空調、照明、生産設備など、各種機器の運用改善や高効率機器への計画的な更新を進めることで、全体の電力使用量を段階的に削減できます。

さらに、省エネパトロールや部門別の目標設定を通じて、現場作業者の意識改革を図り、全員参加型の取り組みを推進することが求められます。

専門知識が必要となるため、エネルギー管理士などの資格保持者を中心にした推進体制を構築することが望ましいでしょう。

企業等の電気代(電気使用量)削減の事例

企業が電力使用量の削減に取り組む際は、成功事例を参考にすると、さらに効率的に取り組むことができます。

本章では、コンビニエンスストア業界や製薬業界などのさまざまな事例を紹介します。

コンビニエンスストア業界における電力使用量削減の取り組み事例

コンビニエンスストア業界では、多店舗展開に伴う電力使用量の上昇が大きな課題となっています。

そんななか、ファミリーマートは飲料冷蔵庫の照明をLED化し、オープン型冷蔵庫にスリットカーテンを導入するなど、具体的な節電施策を実施しました。

この取り組みにより、店舗の電力使用量を前年比で約9.1%削減する成果を上げています。

さらに、ローソンではCO2冷媒を活用した冷凍・冷蔵設備を導入し、店舗全体でのエネルギー効率を高める対策を推進しています。

これらの取り組みは、設備の更新や運用方法の工夫により短期間で成果を出した事例として評価されています。

参考:
店舗の電力使用量を1割削減 ~電気代の高騰に対応すべく店舗の節電をさらに推進~|ファミリーマート
脱炭素への取り組み〜省エネ・創エネを進める店舗設備の導入|ローソン

第一三共株式会社における省エネルギーと再生可能エネルギー活用の事例

第一三共株式会社では、省エネルギーと再生可能エネルギーの活用を推進しています。

2022年4月から、国内13拠点で実質的に再生可能エネルギー由来の電力に切り替え、CO2排出量削減を実現しました。

また、第一三共ケミカルファーマの小名浜工場では、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の「Nearly ZEB認証」を取得しています。

この新管理棟では、太陽光発電設備や高効率空調機器を導入し、基準建築物と比較してエネルギー消費量を78%削減しました。

この事例は、製薬業界の特性を活かしながら環境負荷低減を実現した好例です。

特に、長期的な視点で再生可能エネルギーを取り入れることが企業価値向上にも寄与している点がポイントです。

参考:省エネルギー・地球温暖化防止への取り組み|第一三共株式会社

大田区におけるスタートアップとの協働による電力使用量削減事例

自治体とスタートアップが連携することで、新しい形の電力削減の成功事例が生まれています。

東京都大田区では、cynaps株式会社の換気制御プロダクト「BA CLOUD」を区内施設に導入し、換気設備の最適化を図りました。

「BA CLOUD」は、2024年1月中旬から2月末までに行われた実証実験で換気装置の電力使用量を8割以上、空調機の電力使用量は1割〜2割程度削減するという結果を残しています。

自治体と民間企業が協力することで、施設運営における電力コストを大幅に削減できる可能性が示されました。

参考:スタートアップとの協働により電気使用量を大幅削減!~HICityから区内へ新技術を展開。「SDGs未来都市」の実践~|大田区

ブリヂストンの国内工場における再生可能エネルギー導入事例

製造業界では、工場設備のエネルギー効率が重要視されています。

ブリヂストンでは、国内6つのタイヤ工場で購入電力の100%を再生可能エネルギーに切り替え、CO2排出量削減に大きく貢献しました。

この施策の結果、同社の国内生産拠点全体で再生可能エネルギー利用率が約90%に達しました。

再生可能エネルギーの導入は、大規模な設備投資を伴いますが、長期的には環境負荷低減とコスト削減の両立が可能です。

この事例は、製造業におけるサステナビリティを考えるうえで重要な参考になります。

参考:国内6工場で購入電力100%再生可能エネルギー化を達成|株式会社ブリヂストン

企業の電気代(電気使用量)削減はコンサル等の活用も

男性の手の上に円マーク

企業が電気代削減に取り組む際、専門家の知識を活用することで自社では気付きにくい削減機会を発見し、効率的な対策を実施できます。

専門家による現地調査を通じて投資対効果の高い施策を特定したり、業界の成功事例やトレンド情報を共有してもらえるのも大きなメリットです。

ただし、コンサルタントの選定には注意が必要です。

悪質な業者による強引な営業や根拠のない説明、実績の乏しい業者による不適切な工事がトラブルとなる場合があります。

「即日契約を求める」などの手口には警戒し、十分な確認を行うことが重要です。

信頼できるコンサルタントを見極めるには、第三者機関の認証や導入実績、顧客からの評価などを慎重に確認します。

また、複数の事業者から提案を受け比較検討することで、最適な選択が可能となります。

慎重に選定をして、確実な電気代削減を実現しましょう。

企業の電気代(電気使用量)削減に関するよくある質問

企業の電気代削減に取り組む際には、さまざまな疑問が生じます。

ここでは、担当者からよく寄せられる質問について、具体的な対応方法を解説します。

社内での節電の呼びかけの効果は?

社内で節電を呼びかける際には、単なる声かけにとどまらず、具体的な行動指針や明確な目標を示すことがカギとなります。

例えば、部門ごとの電力使用量データを共有し、削減目標の達成状況を可視化することで、社員の意識向上につながります。

実際に、昼休みの消灯やOA機器の省エネ設定など、具体的な行動を明示すると、一人ひとりが実践しやすい環境を整えることができます。

社内での節電活動を継続的な取り組みとして定着させることで、着実な削減効果を生み出せるでしょう。

節電に補助金は利用できる?

企業の節電対策には、さまざまな補助金制度を活用できます。

国や地方自治体、電力会社が提供する支援制度があり、設備投資の負担軽減が可能です。

例えば、省エネ設備への更新や、エネルギーマネジメントシステムの導入に対する補助金が用意されています。

ただし、申請期限や予算枠には制限があるため、計画的な活用が重要です。

補助金制度は毎年内容が更新されるため、最新情報の確認と早めの申請検討が効果的な活用のポイントとなります。

参考:各種支援制度 | 省エネ関連情報|経済産業省 資源エネルギー庁

電気代削減の効果をどのように測定すればよい?

電気代削減の効果測定には、適切な指標の設定と継続的なデータ収集が不可欠です。

基本となるのは、月次の電気使用量と電気料金の推移です。

具体例としては、前年同月比での使用量変化や、気温による補正を加えた削減効果の算出が有効です。

また、床面積当たりの電力使用量や、生産量当たりの電力原単位など、事業活動の規模を考慮した指標も重要となります。

エネルギーモニタリングシステムを導入することで、より詳細な分析が可能となり、効果的な改善につなげられます。

測定結果は、グラフや表を用いて分かりやすく可視化し、定期的に社内で共有することで、取り組みの継続的な改善が図れます。

MASSがLED化での企業の電気代削減のお手伝いをします

電気代の高騰は、企業経営における重要な課題となっています。

本記事でご紹介したように、エネルギー価格の上昇や環境規制の強化により、具体的な対策が急務となっています。

企業の電気代削減には、LED照明への更新や空調の効率化、電力の見える化など、さまざまな手法があります。

業種別の特性を考慮しながら、自社に適した対策を選択することが成功へのカギとなります。

なかでもLED化の実施には、現状分析から施工管理まで幅広い知識と経験が必要となります。

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